読売日本交響楽団第480回定期演奏会
2009年3月16日(月) 19:00開演
会場:サントリーホール 座席表:
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
ソプラノ : インドラ・トーマス
アルト : シャルロット・ヘルカント
テノール : ロイ・コーネリアス・スミス
バス : ジェームズ・ラザフォード
合唱:新国立劇場合唱団
◆ ベートーヴェン/荘厳ミサ曲「ミサ・ソレムニス」
ということで。
「月曜だし、3月だし、4連休にする勇気がない」ってことで、「行きたいけど・・・・・・」と思っていた演目です。
けど、その週の土曜日、会社が休みってこともあって、「こりゃいかな!」と思い、半年前から計画。
3月は例年になく仕事がわんさか入ってきて「休んでいいのかな。休んでいいのかな」とビクビクしながら、連日人より遅くまで働いて頑張りましたとも!!
歩きつかれたのもあって、開演1時間前にはサントリーホールについて、ぼーっとしてました。
1時間前でもちらほらと人が集まっておられました。
お腹がすいたので目の前の「Soup Stock Tokyo」でコバラを満たす。
うーん。あっさりを目指して岩塩のスープを頼んだのに、油が濃い・・・・・・。失敗した・・・・・・。
あ、のど飴買ってない!と、お店を探したりしているうちに開場時間に。
開場と同時にホール前のオルゴールが鳴るんですね。初めて見ました。
早々に席に座って待機。気持ちを落ち着けて、ステージをぼーっと見ていると・・・・・・それだけで感極まってきちゃって、変な感じです。
そうこうしているうちに隣に人が座って。その人がミニスコアとか歌詞カード(?)とか持参で気合入っていて、ああ、随分お好きな人なんだなぁと思いつつ、こういう人が隣だとまず悪いことは起こらないなと(たとえばいびきとか。鼻がピーってなるとか)安心しました。
しかし、伏兵は後ろだった。
後ろ、声からして年配の女性二人組み。
まぁ、なんとも・・・・・・辛い話題を展開。いや、今からミサ曲だから! 出来ればそんな世知辛い話は辞めて! 気持ち引きずられるから!!
途中から耳を塞いでました。本当にあの手の話は、耳に入るから困る・・・・・・。
さて曲の方ですが、
前からCDでちょこちょこ聴いてましたが、とっつきにくい曲だなぁとも思っていました。
しかし、やっぱり生は違うんですね。
率直な感想としては、合唱が素晴らしい! そして、ソプラノが素晴らしい! 前すぎて、ちょっと合唱強すぎる感もありでしたが・・・・・・。
私は「Credo」と「Sanctus」が、良かったです。
特に「Credo」ですね。途中、真綿で包まれたような安心感・幸福感を感じてしまって、びっくりしました。
私はキリスト教ではないからわからないけど、キリスト教徒がこんな風に「神」というものを感じる瞬間があるなら、それは人生における大きな支えになるんだろうなと思いました。
コンマスのソロも、すごく・・・・・・愛が溢れる感じで素敵でした。
途中、スクロヴァチェフスキ氏の手から指揮棒が舞い上がりましたね(笑)
前方に落ちて、目の前に指揮棒が転がってきた奏者が拾おうかどうか迷い、隣の方に「いいよ、今は」というように制されているのに気付いてしまった……。
あと、一度歌っておられたような気もするんだなー。
途中で、横の方の席のおばあちゃまが付き添いの方と小さな声でしたがオハナシされたりしていて、集中力途切れてしまったのが残念でした。
前方席の方がそれをしきりに気にしていらしたのにも、気になっちゃって。
あと、おばあちゃまが小さな鈴を身につけていらしたのかな? あれが鳴るんですよね。いやーホールに鈴は持ち込み禁止ですよ。
ちょっと具合が悪いとかそういう意味でちょっとしゃべっちゃったぐらいなら、仕方ないって我慢するけど・・・・・・鈴は・・・・・・。
まぁ、それでも、指揮者を見て、集中力を取り戻して。
で、終わるまで「どうなんだろう。この曲は」なんて、思いながら聴いてたんですけど・・・・・・。
終わって、一瞬の静けさの中、スクロヴァチェフスキ氏が、パシっと指揮棒を指揮台に置かれて、飛び出す「ブラボー!!」で、大拍手・・・・・・の中、固まってしまいました。私。
体が動かないというか。いや、もうしばらく余韻を。自分が拍手をした瞬間に、この余韻は過去の物になる。だから、拍手で壊したくない。
そう思ってたら、涙がつーっと両方から落ちて来て(女優みたいな泣き方だった(笑))。
うわ、なんだ。感動してるんだ、私。とか、いつもと違う感動の仕方で、不思議な気持ちになりました。
で、ようやく拍手ができました。
終演後も、
あー。帰りたくない。帰りたくない。動きたくない。
でも、動かないと他のお客さんの迷惑になるしなぁと思いながら、もたもたと通路に出て、あいてる邪魔にならない席に移動して、ステージを眺めてみたりしました。
スクロヴァチェフスキのサインを貰いにいく方たちを見ながら、行こうかなと思いつつも、なんか、「もういいや」って思ってました。会って、サインを貰うことが私のなかでさして重要でもなくなってきてることを不思議に思いながら、ホールを後にしました。
ホールを出た噴水のところで、ポチポチとメールを打ちながら、幸せな気持ちに包まれていたとき、怒鳴り声が聞こえてきて。
あれ?と思ったら、今日、横の方に座ってらしたおばあちゃまが怒られてて。
あんなコンサート中に!みたいに怒られてて、もう連れてこない!みたいに怒られてて。
怒らないで下さい。って思わず言いたくなったけど、怒ってらっしゃる方に恥をかかすことになるだろうなと思って、そっと逃げるようにその場から離れました。
お願いです、そんなに怒らないで。注意することは大切だけど、もう連れてこないなんて言わないで。
こんな素敵な世界を、もう二度と味わえないなんて、辛い。
だから、また、連れてきてあげてください。出来たら鈴は外すか、大切なものなら布に包んでね。
怒鳴り声を聞いたら、気持ちがしゅんとしちゃって。余韻もなくなっちゃった。
あー。幸せを掴むことは難しい。幸せな気分を維持することは難しい。
でも、私、多分、今後、荘厳ミサ曲「ミサ・ソレムニス」を聴いたら、絶対今日の日の演奏を思い出すなと思いました。
東京にまで来て、スクロヴァチェフスキ指揮の演奏を聴くのは今回を最後にしようと思ってたんですよ。
でも、来年も是非時間をつくろうと思いました。
できれば、最後の演奏を。
ブルックナー第8番。
とれたらいいな。
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