クラシック音楽館 2020年11月1日(日)放送

クラシック音楽館をいくつか撮りためていて、そろそろ消さなければならないので、内容を記録するとともに、感想なども残しておこうかと思います。
クラシック音楽館で好きなのは、リハーサル風景やそのときの指揮者の指示などに触れられたり、指揮者や奏者のインタビューなどが聞けることです。
それもちょっと残せたらなぁと思っています。

オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー

ベートーベン生誕250年の記念番組で、年明けからたくさんのコンサートが予定されていたが、コロナの影響で中止になりました。

ベートーベンもまた苦悩の人生を歩んだ音楽家でした。耳の病になやまされ、戦い続けたベートーベン。たくさんの名曲と9つの珠玉のシンフォニーを残してくれました。そこに込められたものは「苦悩を通して歓喜を手に入れる」というメッセージでした。

ベートーベンの音楽がもつポジティブなエネルギーを今こそ届けたい。日本各地の楽団が参加した、オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー。思いを一つにベートーベンを奏でます。

今回ベートーベンの名曲を届けるのは、北海道から九州まで全国の10のオーケストラです。
希望のシンフォニーは9月(2020年)からNHKの公開収録イベントとしてスタートしました。来場人数を減らし感染対策をしながら、各地の収録を進めています。

京都市交響楽団常任指揮者(当時)広上淳一さんのインタビュー

すべてのオーケストラにすべてのオーケストラの良さがあります。N響もいい、京響もいい、札響もいい、仙台フィルもいい、群響もいい、名古屋フィルの良さもある。広響はここか、京響はここか、登場するオーケストラ、すべてのオーケストラの良さをぜひ味わってもらいたい。

大阪フィルハーモニー交響楽団音楽監督 尾高忠明さんのインタビュー

もうベートーベンさんに僕は声を大にして申し上げたいけど、日本のオーケストラこんなに上手くなってますよって。それぞれのオーケストラ、こんなに貴方の曲を愛して、こんなに一生懸命演奏していますから、ぜひ、天国で聞いていただきたいと思いますね。

希望のシンフォニー、まずは京都のオーケストラからです。

オーケーストラでつなぐ希望のシンフォニー 京都市交響楽団

ベートーベン:弦楽四重奏曲第16番から第3楽章
ベートーベン:交響曲第1番


指揮:広上淳一
管弦楽:京都市交響楽団


2020年9月2日 会場:京都コンサートホール

京都市交響楽団

京都コンサートホールを中心に活動する京都市交響楽団。
指揮は2008年から常任指揮者を勤める(当時)広上淳一。12年間ともに音楽を作り上げてきた固い信頼関係で、黄金時代を迎えているコンビです。

京都市交響楽団は1956年に創立。歴史の街京都で60年以上にわたり、市民の音楽文化を支えてきました。

京都市交響楽団と広上さんのリハーサル。それを楽員は「楽しい音楽の時間」だといいます。

細かいこと言うとごめんなさい。あのね、ベートーベン先生ってよく考えてみると、全部音階しか書いてないんですね。バイオリンコンチェルトだって音階じゃないですか。皇帝だって。つまりここも(鍵盤ハーモニカ吹く。余談ですけど、そういえば、「さよならマエストロ」も広上先生がかかわっておられて、西島さん、鍵盤ハーモニカ、吹いてたなぁ…)この、タッタタッタとか、締めのところっていうのは、絶対に皆さんで捕まえておくと、より説得力が出てくる。

素晴らしい!

首席ファゴット奏者 中野陽一朗氏のインタビュー

もう皆さんご存じの通り非常にボキャブラリーと言いますか、言葉巧みで、表現の方法とかダイレクトに伝わってくるような表現をされますので、こちらもそういう雰囲気に乗って、どんどん曲が仕上がっていくような、体験をさせてもらっております。

今回演奏する交響曲第1番は若きベートーベンが満を持して発表した作品。新しい交響曲を作ろうという意欲にあふれています。この曲にどう挑むのか。

こういう風に思ってください。この曲の場合、あんまりエネルギーいらないです。これだけディスタンスもあるし、距離感もあるので、一生懸命というイメージを取っ払っていただいて以外に気楽に力をいれないで弾く感じ。フォルテも力む必要はないので、そのまま楽に音を出すイメージで作ってあげてください。力は入れません。楽に。

インタビューより

彼が30歳か29歳か、まだ夢を持てる若者の清廉潔白であり純粋な、すがすがしい、爽やか。そういう意味で少し精神的には軽い気持ちを出そうっていうのは、楽員さんにも伝えて、そういう音を作るようにはしました。
3番4番5番になってくると、もっとベートーベンの重々しさが出てきますが、重々しくはないベートーベン先生のシンフォニーの良さを出せればいいかなと。

感想

京都市交響楽団は、昔好きだと思っていた楽団で、広上さんが常任指揮者としておられる間に行きたいと思いつつ、結局行かなかったなぁとしみじみとしてしまいます。

広上淳一さんは「さよならマエストロ」というドラマで監修に加わっておられたと思います。鍵盤ハーモニカを吹かれるところとか、作曲家を「先生」呼びされるところとか、ボキャブラリーが豊かで表現方法がわかりやすいというコメントを見ると、西島さんの演じた夏目さんは、広上氏をすごく投影してたのだなぁと、4年近く前のこの番組から感じられて、すごく興味深かったです。

ちなみに、私の中で「のだめ」に出てくる指揮者の「片平さん」は広上氏だと勝手に思っています。踊るような楽しそうな指揮が大好きです。

そして、番組の画面を見ていると、ディスタンスとか奏者がマスクをしているとか、客席がすごく人が少ないとか、4年前はこれが当たり前の光景だったなぁと、なんだかとても不思議な感傷で見てしまいますね。

ベートーベン:弦楽四重奏曲第16番から第3楽章

こんなに美しい曲を、私はまだ知らなかったのだなぁ……。ベートーベンの美しいメロディって人の心に染み入るものが多いけど、これはまた美しさの種類がたくさんつまっているように思いました。苦しみや嘆きを美しい音楽と一緒に光に溶かしてくれそうな音楽だなと思いました。弦楽四重奏なんて絶対自分ではチョイスしないので、この番組で出会えたことに感謝します。

ベートーベン:交響曲第1番

広上さんの指揮が、おっしゃっていたように「力を抜いた」指揮で始まったので、とてもにやけてしまいました。楽団全体から、とても幸せな音がしているようで、音を追うのがとても幸せでした。思わず指揮者のように手が動いてしまい、それがきびきびというよりも空気をなでるように柔らかで、なんとも気持ちよいのです(笑)
広上さんの「グー!」がとってもかわいかった。あんなの演奏中に出されたら、嬉しくなっちゃうな?。ちょっと時々モーツァルトのような音を感じました。気のせいかもですが。
最後の最後まで幸せな響きをありがとうございました。

オーケーストラでつなぐ希望のシンフォニー 仙台フィルハーモニー管弦楽団

ベートーベン:交響曲第2番


指揮:飯守泰次郎
管弦楽:仙台フィルハーモニー管弦楽団


2020年10月15日 会場:名取市文化会館

仙台フィルハーモニー管弦楽団

杜の都仙台を拠点に活動する仙台フィルハーモニー管弦楽団。
1973年に宮城フィルハーモニー管弦楽団、市民オーケストラとして誕生し、仙台フィルの愛称で親しまれる楽団です。
2011年の東日本大震災以降、被災者のもとへ音楽を届けるコンサートを実施。心の復興の支援を続けています。(映像の子供たちがものすごい近いところで弦楽四重奏聞いてるの素敵だなぁ…)

今回指揮台に上2018年から常任指揮者(当時)を勤める飯守泰次郎。本場ドイツのバイロイト音楽祭で数々の公演に携わり、長年日本の音楽界を牽引してきた巨匠です。

今年(2020年のこと)80歳を迎えた飯守さん。今こそベートーベンの音楽がもつ力で、聴く人に勇気と希望を伝えたい。強い思い入れをもって臨みます。

リハーサル風景

思い切ってピアノ。フォルテはフォルテ!ピアノはピアノ。はっきり。これが明らかにベートーベンの特徴です。そして、若いベートーベンの特徴です。
お客さんを驚かしてやる。

ベートーべンは耳の病に苦しみながらも、数々の名曲を残しました。飯守さんが届けたいのはその音楽がもつエネルギーです。

パンチ効かせてください。

飯守泰次郎さんのインタビュー

彼にとっては非常につらい状態であったわけです。普通の作曲家では、もうすべてをやめてしまう。それを克服して、自分で作曲したということ、これはすごい、彼の精神力ですよね。
どうしてこんな表現ができるのかなと思いながら、結局そのベートーベンの表現力の強さに圧倒されて、やっぱりこれこそベートーベンの表現力の凄さだなと感じますね。

チェロ ソロ首席奏者 三宅進さんのインタビュー

飯守さんのなんていうかな、ベートーベンの精神にも通じる不屈という、いろんな困難にも負けない強さっていうのは、現代の我々にはちょっとかけているかもしれないと思って、飯守マエストロを通して、ベートーベンに会った気持ちになった。
これで何かひとつ確信をもって、臨めるのではないかと思っています。

200年以上前にベートーベンが込めた思いを楽譜から読み取る。リハーサルは音楽がたちがそれぞれの立場でどう伝えていくのかをぶつけあう真剣勝負の場です。

(楽員A)先生質問なんですけど、今、フェルマータの前、すごいテンポ前にいかれてますよね。その後のテンポというのがその前より遅くなっているという風に感じるんですけど、それはそれでよろしいんですか?

(飯守さん)あー。するどい質問ですね。

(楽員A)もっと前にいってもいいんですか?

(楽員B)えっ、ちょっと ちょっと厳しいかも、こっちは。

(楽員A)♪そこで遅くなるような感じがするんですけど

(飯守さん)そこは遅くしないでくださいね。

(楽員A)しないです

コンサートマスター 神谷未穂さんのインタビュー

いつもなんか受け身ではなくてこうしたいという意欲があるオーケストラなので、それが音楽にも絶対表れていると思います。

飯守泰次郎さんのインタビュー

仙台フィルっていうのは、若々しいやる気満々のオーケストラです。毎回非常に新鮮な好奇心を持って反応してくれる。これがすばらしいことなんです。

感想

2023年8月に亡くなれた飯守さんがご存命のときの番組なんだなと思うと、なんか、感慨深いです。4年近く録画を寝かしていると、こういうこともあります。

ベートーベン:交響曲第2番 ニ長調 作品36

仙台フィルは、地理的にも聞く機会のない楽団です。京響の第1番とはまた打って変わって、ちょっと重厚な、私が普段思う「ベートーベンと言ったらこんな感じな気がする」という雰囲気の演奏でした。飯守さん、途中で笑顔で手を振るような指揮をしてらしたのではないかしら?かわいいです。
ホルン奏者さんが膝にベルを置いているかをチェックしてしまう(私は置かないと吹けないほう)のですが、おいておられてちょっと安心しました。あと、バスーンが素晴らしかったです。

番組後半

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 作品109


ピアノ:アンドラーシュ・シフ

感想

ピアノ・ソナタもたくさんあってちゃんと聞いたことがない気がします。第30番は後期の3つのソナタのうちの一つですね。後期のソナタというと、「のだめ」を思い出します。第3楽章のいろんな展開が好きです。

ベートーベン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 作品135 第3楽章


演奏:ウェールズ弦楽四重奏団
崎谷直人(Vn)/三原久遠(Vn)/横溝耕一(Va)/富岡廉太郎(Vc)

感想

管弦楽団の方がいいのではないかなぁと思ったけど、四重奏もとても素敵(もともとこちらが元か)。ただただ美しいと聞いていたら、ベートーベンが作曲したまとまった作品で最後の作品なのですね。全曲聞いてみようと思いました。

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