クラシック音楽館 2021年2月14日(日)放送

クラシック音楽館をいくつか撮りためていて、そろそろ消さなければならないので、内容を記録するとともに、感想なども残しておこうかと思います。
クラシック音楽館で好きなのは、リハーサル風景やそのときの指揮者の指示などに触れられたり、指揮者や奏者のインタビューなどが聞けることです。
それもちょっと残せたらなぁと思っています。

N響演奏会 指揮:原田慶太楼

NHK交響楽団 11月公演 東京芸術劇場

コリリャーノ:航海
バーバー:ヴァイオリン協奏曲 作品14
ドボルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界から」


指揮:原田慶太楼
管弦楽:NHK交響楽団
バイオリン:神尾真由子


2020年11月20日(水) 会場:東京芸術劇場

原田慶太楼は、1985年東京生まれ。
オハイオ州インターロッケン芸術高校で指揮を始める。
ジョージア州サヴァンナ・フィルハーモニック音楽芸術監督。
2021年東京交響楽団正指揮者就任(放映当時は就任予定)。

今回のプログラムは19世紀から20世紀にかけてアメリカで生まれた音楽です。

原田慶太楼氏 インタビュー

今回のプログラムはまず最初にドボルザークのことを考えてもらいたい。ドボルザークはアメリカの作曲方法を作るためにアメリカにきました。

アメリカの音楽家教育に力を注いだドボルザーク。新天地での経験が刺激となり新しい音楽を生み出していきました。ドボルザークはアメリカの音楽のパイオニアともいえる存在となったのです。

彼が生み出した流れは、バーバーやコリリャーノなどアメリカ生まれの作曲家たちに受け継がれていきます。

やっぱりドボルザークからバーバー、バーバーから今生きているコリリャーノにつながるというこのプログラムの流れです。

アメリカで映画音楽からオペラまで幅広いジャンルで活躍するコリリャーノ。今回はもとは無伴奏の合唱曲。歌詞はフランス象徴派の詩人、ボードレールのものです。

原田慶太楼氏 インタビュー

この曲で一番大事な言葉というのが、一つのフレーズで、”there is nothing else but grace and measure, richiness, calm and pleasure”(世界には美しさ 豊かさ 静かさと 喜び以外何もない)というメッセージがこの曲に入っていて、バイオリンから始まるんですけど(—♪—-)というのがちょうどここの歌詞になって、それが歌詞が頭に入っているだけでも、演奏の仕方がかわる。

聴きどころといえば、この美しさ。その弦のハーモニー。弦の皆さんが楽器を使ってひとつひとつの言葉を語っている。それが演奏を通じて皆さんに聞いていただければ嬉しいです。

2曲目はバーバーのバイオリン協奏曲です。ソリストは神尾真由子。2007年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝し、以来、世界で活躍するバイオリニストです。

今回演奏するバーバーのバイオリン協奏曲は1941年に初演され、大きな成功を収めた作品です。

神尾真由子さん インタビュー

分類としては現代曲に当たるんですが、1楽章・2楽章はすごく抒情的で、無調の部分もないですし、本当にロマンチックで、景色が浮かんでくるような

私にとってはアメリカの風景が浮かぶ。ニューヨークやメトロポリタンではなくて、中西部だったり西部の広い感じが。厳しい自然や豊かな自然だったりそういう風景が浮かぶところが好きです。

第3楽章は一転して無調の無窮動になって。ソロバイオリンもオーケストラもテクニカルな動きを要求される、盛り上がりのある、少し攻撃的な曲になっていると思います。
現代曲でも無調だったり不協和音だから汚いという意味ではなく、それが楽しい、斬新だというような。汚いからこそ魅力があるという部分もある。そういう意味でその曲が魅力的に聞こえたらいいなと思います。

個人的に確認した奏者

コンマス 篠崎史紀
フルート 神田寛明
ホルン 福川伸陽/勝俣 泰(ドボルザークから 木川博史/野見山和子)
トランペット 長谷川智之
トロンボーン ?川武典

感想

コリリャーノ:航海

祈りのような曲だと思いました。全世界の生きとしきるものの祈りの言葉のような歌詞を、事前に知ったことでよりこの音楽の美しさを感じ取ることができたのかもしれません。ちょっとフィンジヤヴォーン・ウィリアムズを思い出しました。
コリリャーノさん(コリリアーノさん)の曲に興味を持ちましたが「レッド・ヴァイオリン」はフィギュアスケートでも使われていた記憶がありますし、交響曲は吹奏楽版もあるそうなので、ちょっと探して聞いてみようと思います。

バーバー:ヴァイオリン協奏曲

バーバーといえば、「弦楽のためのアダージョ」が一番有名でしょうか。どこまでも深く落ちそうな、どこまでも高く昇りそうな、聴いたときの気持ちで印象が変わりそうな、でも落ちても昇っても、昏く輝かしい美しさが残りそうな曲。

ヴァイオリン協奏曲は初めて聞いたかなと思います。「現代曲」とのことだったので、どんなのだろう?難解なのかなと思っていましたが、響きが広がるような音の流れにうっとりしていると、ソロヴァイオリンがとても美しく世界を示してくれるような曲でした。

で、ラストに向かうにつれ、どれだけかっこよくなっていくのかと。ゾクゾクしはじめて、曲が終わった瞬間にめちゃくちゃかっこええー!とテレビの前で叫んでしまいました。名演奏だったと思います!

ソリストのアンコールは、「魔王」(シューベルト作曲 エルンスト編曲)。「魔王」というと音楽の時間の「おとーさんおとーさん」の印象から全く何も塗り替えられてないので「これが魔王だっけ?」と後で首傾げでしたが、とても情熱的で、パワーはしっかりと感じました。

後半はドボルザークの交響曲第9番「新世界から」です。

1892年ドボルザークはニューヨークのナショナル音楽院の初代院長に就任するためにチェコからアメリカに向かいました。

原田氏インタビュー

ドボルザークの「新世界から」の魅力というのは、ドボルザークがヨーロッパからアメリカへ渡った物語。ドボルザークがどういう心境でヨーロッパを出て、船に乗って、アメリカに来たのか。アメリカに来て、自分がやらなければならないミッション。アメリカの作曲の伝統を作るというミッションをどういう風に作っていくかという彼のチャレンジを描いた曲です。

原田さんが考える「新世界から」の物語。作品の中でどういう風に描かれているのでしょうか。

第1楽章は船旅の出発の風景と期待と不安が交錯する心境
新世界アメリカに向けた船出。期待と不安が上昇して下降する音型で表現されています。

第2楽章は主人公の揺れる心の歌
ふるさとを離れた気持ちが歌となり、揺れては返す哀愁のメロディがドボルザークの心の内を表します。

第3楽章はアメリカに近づく中遠く離れたチェコを思う
アメリカ先住民の音楽が聞こえ、新世界が近づいていることがわかります。チェコを思わせるメロディはドボルザークのふるさとへの気持ちです。

第4楽章は期待に胸躍る様子と新世界に飛び込む勇気
アメリカに到着したドボルザークの期待に胸高まる様子と新世界に飛び込む勇気が描かれています。

今回の演奏は1楽章から2楽章にアタッカ(続けて演奏する)するんです。
つなげる理由があります。もともとドボルザークは2楽章の頭を、スケッチブックに書いてあったんですけど、Cメジャーで書いていました。あるきっかけがあってEメジャーに変わったんです。
1楽章がEマイナーで終わって、そこからすぐにEメジャーに入るために、Eでつながっている。ここはもうアタッカでしょ。物語をつなげなければならない。

アメリカで触れた先住民の文化や黒人霊歌に創作欲を刺激されたドボルザーク。新世界にはこの時代、アメリカで歌われていたフォークソングの特徴がはっきりと表れているといいます。

このメロディ(2楽章の名メロディ)の原曲ははっきりしていないんですけど、でも、一番大事なのはその当時のアメリカ1900年代前半1890年代後半のフォークなメロディの一つの共通点と言えばコール&レスポンスがある。まず一つのフレーズをやって、レスポンスが強かったり弱かったり。それがこのメロディに入っている。
今回の演奏もそれをすごくオーケストラに伝えて、「会話をしよう」って。最初はコールアングレからクラリネットと会話をする、中盤はコールアングレから弦の人と会話をする、弦の中の人たちの中でも、小さなアンサンブルになってトリオになって会話をする。コール&レスポンスを楽しみましょうという演奏をしています。

「新世界から」という曲は日本ではよく演奏され、世界でもとてもポピュラーなんですけど、いろんな演奏のスタイルのある中、意外と、これは僕の勝手な意見ですけど、結構固定されていると思う。それを同じ演奏するのでは物足りない。なので今回僕が自分でアメリカでキャリアを積み、アメリカの音楽や作曲家と触れ合った自分から見たドボルザークの「新世界から」のストーリーを日本で演奏するのは、いろんな意味があるんじゃないかなと思います。

感想

ドボルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界から」

インタビューの内容からもう期待しかなかったです。確かに「新世界から」は私自身ももう何回聞いたかわからないような名曲です。EマイナーからEメジャーのつながり。そういうお話大好き。

新しい「新世界を」ということとでしたが、とても素晴らしかった。「新しい」とかそういうのをあまり意識せず、ただただ素晴らしい演奏でした!第2楽章もすごくきれいだったなぁ。コールアングレももちろんものすごくよかったけど、途中のヴァイオリンのアンサンブルがとても優しくて素敵でした。

最後の方のホルンもかっこよかった。福川さん!!みなさま。

またゆっくり聞きたいです。この録画は保存版だなぁ。

コンサートα

NHK交響楽団 第1124回定期公演

ドヴォルザーク:スラブ舞曲 作品46第2



指揮:ヴァーツラフ・ノイマン
管弦楽:NHK交響楽団



1990年11月9日 NHKホール

感想

34年前の演奏。
オーボエに茂木さんがいらっしゃる!若い?。フルートもN響アワー時代によく見かけた方だ?。コンマスは堀さんかな。ホルンに松崎さんがいらっしゃるようにも見えるけど、一番左じゃないから違うのかな…。

と、昔の演奏だと人を探してしまいます。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA