クラシック音楽館をいくつか撮りためていて、そろそろ消さなければならないので、内容を記録するとともに、感想なども残しておこうかと思います。
クラシック音楽館で好きなのは、リハーサル風景やそのときの指揮者の指示などに触れられたり、指揮者や奏者のインタビューなどが聞けることです。
それもちょっと残せたらなぁと思っています。
N響演奏会
ファビオ・ルイージが登壇する予定だった1942回定期演奏会。変わって登壇したのは沼尻竜典氏でした。
(沼尻氏)プログラミングの並々ならぬ意欲というものを感じましたしね。自分だったら思いつかなかったような組み合わせで、非常に勉強になりました。
1991年にN響と初共演した沼尻氏は、今回のルイージ氏から受け取った襷をどう受け取ったのでしょうか
今回の三曲を見てみると全曲を通してある繋がりを感じるので、さすがルイージさんだと思いました。魔弾の射手の少し魔術的な感じとリストのピアノ協奏曲の冒頭のテーマから不思議な香りがする感じと、シュミットの交響曲も魔弾の射手にような夜とか森とか自然の風景が浮かんできますしね。さすが巨匠だなと思いました。
「魔弾の射手」について
もう冒頭のホルンの四重奏からして非常にドイツですよね。ホルンと森と言えばドイツという感じで、例えばワーグナーのリングの中でもジークフリートがねホルンをぶら下げてね。それから弦楽器のトレモロが森を表していてね。ウェーバーがいなかったらワーグナーも違う曲を書いてたかもと。ドイツオペラの歴史を作った作品と言えるかもしれませんね。
「リストのピアノ協奏曲」のピアニスト、アレッサンドロ・ダヴェルナはファビオ・ルイージの推薦でN響とは初共演
本当に素晴らしいです。普通リストというとかっこよく弾いてやろうとなりがちなんですが、彼は本当に楽譜と作曲家に忠実な演奏をなさっていて、それなのに非常にきらびやかで豪快で繊細でというのが全部あって。オーケストラをよく聴いていて、指揮も見ていますし、アンサンブルしやすいですね。リストも1番はよくやるけど、2番はほとんどやらないですし。ピアノだけでなくてオーケストラの部分もとても充実していて、ピアノとのかけあいとか一緒に演奏するところか、交響曲の雰囲気を持っていますね。
フランツ・シュミット(1874-1939)。ウィーンフィルのチェリストとしても活躍していた多彩な作曲家です。交響曲第2番の聴きどころとは。
本当に全部ですね。出だしの本当にこの彩というか糸と糸が組みあがっていく音楽から、ファンファーレの輝かしさから。シュミットは保守的という評価もありますが、確かに、作品の構成などを昔からのものを踏襲しているんだなという感じはしますけど、それぞれの楽器の使い方や和声ですね。シュミットの場合は汚い瞬間をぎりぎりまで伸ばしたりしているわけです。毒を盛っているようなところがありまして、えーっと思っていると、ふわっと解決したりするわけですけど、毒に当てられ始めるとそれがどんどん気持ちよくなる。これは全然保守的じゃない。むしろ新しいかなと。
ホルン8本をはじめとする大編成を駆使した多様な表情が表れます。
2楽章はやっぱり最初に聞いたときにはやられたと思いました。すごいですね。このバリエーションのやり方が。いろんな情景がパパパパっと入ってきて、それぞれの主役となる楽器の特徴をとらえていて、楽器を学ぶんだったらこのスコアを一曲勉強すればいいというような。
そしてその3楽章の宗教的な雰囲気といいますかね。最後の教会に響くようなコラールに、弦楽器が渦のようになって絡んでいくところがありますが、民衆の神様に対する熱狂的な思いや感謝があると思います。
NHK交響楽団 第1942回定期演奏会
ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
リスト:ピアノ協奏曲第2番
フランツ・シュミット:交響曲第2番 変ホ長調
指揮:沼尻竜典
管弦楽:NHK交響楽団
ピアノ:アレッサンドロ・ダヴェルナ
2021年11月13日(土) 会場:東京芸術劇場
個人的に確認した奏者
チェロ 辻?本 玲
フルート 神田寛明
クラリネット 松本健司
ホルン 今井仁志/石山直城/勝俣 泰/木川博史/野見山和子
トランペット 菊本和昭
感想
ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
冒頭のホルンの四重奏が素晴らしい……。曲名はとても有名だけど、まともに聞いたのは初めてかもしれません。印象よりもとても華やかな序曲らしい序曲だなぁと思いました。
リスト:ピアノ協奏曲第2番
リストのピアノ協奏曲は1番をやっぱりよく聴くのかな。でも、2番は2番の魅力がすごくあるピアノ協奏曲だと思いました。
ピアノの響きとオーケストラの響きが、なんというか、とてもよくあっていてというか、いろんな楽器(チェロソロとかしびれます)との掛け合いなんかもとても美しく、ワクワクして、協奏曲って正直あんまり好きじゃないのですが、この演奏はとても全体の響きもピアニストの凄さも味わえる演奏だったなぁと思います。ピアニストさんのピアノも、層があるというか、表現が難しいですが、好きな演奏でした。
フランツ・シュミット:交響曲第2番 変ホ長調
初めて聴くかもしれません。初めて聞いた作曲家でもあるかもしれません。なんか初っ端からホルンの大変そうなうねりが聞こえていましたが、かっこよかった……。保守的というか、現代的な曲に聴こえるところが頻繁にある感じがしました。やたらとホルンすごい……大変そう。高音とか飛び方とか、絶対大変……。始終あっけにとられるような曲でした。最後の最後のコラールは圧巻だけど、私はホルンがすっげー大変そう。大変そう。高音すごい。そりゃ8本いるわ……ばっかり考えてしまう曲でした……。ある意味スコアを見てみたい。まずホルンをねぎらってほしいなぁ…と思ってたら、トランペットが先だった。今井さんお疲れさまでした!
ラヴェル:組曲「クープランの墓」から3メヌエット・4リゴードン
指揮:沼尻竜典
管弦楽:NHK交響楽団
2021年1月22日(金) 東京芸術劇場
感想
オーボエとフルートが素晴らしかった。ホルン、伴奏の音がキラキラしてて、福川さんっぽいなぁと思ってたら、そうだった。当たって嬉しい。クープランの墓ってこんなにおしゃれな曲だったっけ……などと思いながら、楽しく聴けた演奏でした。
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