ブラームス:交響曲第3番ヘ長調op.90

「のだめカンタービレ」の11巻。のだめがアミラーゼ(違う。アナリーゼ)でチンプンカンプンだったのが、この交響曲第3番の第3楽章です。
交響曲第1番を聞いてから、ブラームスの他の交響曲に食指が沸かなかったのですが、この前「突発性他の交響曲聞きたい病」に なりまして、お金もないしTSUTAYAに借りにでも行こうかなぁと考えていて、随分前に借りてCDに焼くだけ焼いてたのを思い出しました。 そして、第2番と第3番を聞いてたんですけど、この第3番かなり聞き覚えがある曲でしたね。
そのなかでも第3楽章は、多分何かのBGMで流れたんだと思うんですけど、聞き覚えありましたね。

「のだめ」の11巻の中で「ブラームスにしては簡素で流暢でコンパクト」というような表記があります。 私的にも第2楽章を含めて「聞きやすい」感じがしました。
まさに第3楽章はドラマのBGMにも使えそうな雰囲気。なんか持っている重みに余裕がある分だけ、 他のメッセージ性との同居を許すようなイメージ。
だけど薄いわけではないです。私は第3楽章大好きです。少し前向きな光を含んだ別れのイメージです。 中ほどに出てくる弦の美しいメロディが少し涙を誘いますが。かなりロマンティックだと思いますね。

もちろん第1楽章も第4楽章も好きですよ。
第4楽章はカッコイイ響きが続いて、本当ブラームスのこういう部分好きだなぁとしみじみと思うのです。

(2005.5.8 記)

聴いたCD

この曲が出てくる作品

この曲について語られたことばたち

(ジョン・アクセルロッド氏 インタビューより)
交響曲第3番はクララ(シューマンの妻)へのラブレターと言ってもいいと思います。証拠もあります。すばらしい話なのですが、恩師であるシューマンへの尊敬の念から深い愛情と友情で結ばれながらも、生涯クララとブラームスはプラトニックな関係でした。第3楽章の美しいポーコ・アレグレット ハ短調の旋律はハンガリーやルーマニアの音楽をルーツとしていて、ある意味カンツォーネ、セレナードなのです。
そして、とても重油なのはローベルトとクララ、ブラームス 三者の関係が交響曲全体のライトモチーフ、根底にあるテーマだということです。誰もが耳にしたことのあるこの美しい旋律を聴くと、3人がソロ楽器やアンサンブルによって表現されているのがわかります。特に顕著なのが長いフェルマータのあと、ホルンの独奏はブラームス、甘く美しいオーボエはクララ、そして影のようなクラリネットとファゴットはローベルト。最後に第1バイオリンとチェロが奏でる主題、それはコン・アモーレ、深い愛情。「トリスタンとイゾルデ」や「ロミオとジュリエット」のように愛によって死んでしまう形ではなく、人と人の深い、健全な愛の形です。ハ短調の旋律です。短調は和声の特性上どちらかというと「暗い」「メランコリック」な響きがあります。ブラームスの音楽を表すのに一番使われるのが「暗い」「メランコリック」この二つの形容詞です。悪い意味での暗さではなく、ドイツ・ロマン主義的な暗さです。この旋律を表すのにぴったりの言葉があります。ドイツ語の「sehnsucht」という言葉です。ほかの言語でsehnsuchtにあたる単語はなく、ドイツ語だけがもつ特別なものです。憧憬・恋慕・願望・望郷・メランコリーといった意味がすべて込められています。
これほどまでに聴衆の心に響く理由は、若い時であれ大人になってからであれ、憧憬・恋慕・郷愁、片思いや失恋といった感情を誰もが経験しているからではないでしょうか。だからこの音楽に込められた「sehnsucht」深い憧憬に共感するのです。
このすばらしいメロディーを聴くと、ひざまずいてプロポーズしたくなる
「愛しています。結婚してください」バレンタインデーにぴったりじゃないですか?

クラシック音楽館 2022年2月13日(日)放送

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