クラシック音楽館をいくつか撮りためていて、そろそろ消さなければならないので、内容を記録するとともに、感想なども残しておこうかと思います。
クラシック音楽館で好きなのは、リハーサル風景やそのときの指揮者の指示などに触れられたり、指揮者や奏者のインタビューなどが聞けることです。
それもちょっと残せたらなぁと思っています。
日本のオーケストラ特集第3弾
30代(2020年当時)の若きマエストロ川瀬賢太郎氏が率いる神奈川フィル管弦楽団。
楽団員は若い指揮者ならではの新鮮な解釈が音作りに期待しています。さらなる進化を目指す神奈川フィルです。
今年創立64年目(2020年当時)の日本フィルハーモニー交響楽団。日本フィルには長年続けてきた独自の取り組みがあります。それが毎年九州の主要都市をめぐる演奏旅行。通称”九州ツアー”です。ホールでの公演以外に、ロビーでミニコンサートを開催。地元の人たちに生の音楽を届け、交流を深める。日本フィルが大切にしている精神です。
関西の音楽界を長年牽引してきた大阪フィルハーモニー交響楽団。通称「大フィル」その73年(2020年当時)の歩みにも注目します。
今(2020年当時)、日本のオーケストラは新型コロナの影響で活動を大きく制限されています。
今回はNHKのアーカイブズに保存されている各オーケストラの演奏を一挙に放送します。
トップバッターは、横浜が拠点の神奈川フィルハーモニー管弦楽団。
1970年の結成以来、地元に密着して市民から愛されるオーケストラを目指して活動しています。この楽団を率いるのが指揮者川瀬賢太郎。29歳で常任指揮者に就任したため、楽団員の多くが先輩。しかし川瀬は音楽においては妥協せず、自分の主張をしっかり楽団に伝えています。
フルート 江川説子さん
自分のやりたい音楽というのがはっきりしていて、こういう音が欲しい、それを伝えるのがすごく上手な方で
クラリネット 齋藤雄介さん
思っていることを身振り手振りというか、可能な限りぶつけてきてくれるので楽しいです。
川瀬賢太郎さん
僕としてはオーケストラに対して、上からでも下からでもなく、ありのままの自分で行く。人として言われたらいやだろうという最低限のことは気にしつつも、自分の熱意だったり音楽のことをリハーサルでぶつけるようにしているので、うまくいっているのかな…という気がしています。
2015年神奈川フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会
ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
指揮:川瀬賢太郎
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
2015年2月20日(金) 会場:横浜みなとみらいホール
感想
ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
曲名はなんとなく聞いたことあるけど、聴いたことはないのかも。印象にない曲でした。
演奏もなんとなくぼーっと聞いてしまう感じでした。なんだろう。しっくりこない……。
そもそもこの「ウェーバーの主題」の「ウェーバー」さん自体の曲をしらなくて……。
でも、クライマックスは超カッコよかった!
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除された後の6月、日本フィルハーモニー交響楽団は、首都圏の他のオーケストラに先駆けコンサートの再開に踏み切りました。楽器と楽器の間に1.5mのディスタンスを確保。細かな消毒を行い、感染対策を徹底。観客は入れず、ライブ配信を行いました。3月以来すべての演奏会を中止。または延期を余儀なくされていました。自主運営をする日本フィルにとって、チケット収入がなくなることはまさに存亡の危機。今から半世紀近く前にも危機に見舞われたことがあります。
1972年事実上の親会社だった民間の放送局が、財政支援を打ち切ると発表。解散を迫られた楽員たちは10年以上の裁判を戦いました。日本フィルの音を消すな!苦しい時期を支えてくれたのは全国の●●(聞き取れない)組合でした。日本フィルは全国各地の様々な職場や学校を訪ね演奏をし支援を訴えました。
新型コロナが猛威を振るう直前の2020年2月初旬。日本フィルのホームグランド杉並公会堂では、毎年恒例の九州公演に向けたリハーサルが行われていました。今回の九州公演、指揮は日本フィルと長年タッグを組んできたロシアの巨匠アレクサンドル・ラザレフ氏。ソリストもバイオリンの堀米ゆず子さん、世界のトップクラスが出演します。
訪れるのは全部で10か所。2/7の宮崎を皮切りに、鹿児島、熊本、福岡、最後は長崎。13日間の弾丸ツアーです。
このツアーに特別な思いを寄せる団員がいます。熊本出身でホルン奏者の原川翔太郎さんです。
僕が故郷が熊本なので。九州ツアーって1か月は九州にいるので、1年の中の一番の楽しみです。家族とか親戚とか聞きに来ます。
今回原川には演奏のほかに開演前のミニコンサートの企画も任されています。
僕がプロデュースしていて。年に1度の楽しみです。
と気合十分の原川。そこで彼の地元熊本公演を密着しました。2016年の地震の影響で今も復興の途上にある熊本市。日本フィルの熊本公演の主催するのは市民団体、熊本日本フィルの会です。およそ20人の会員はみなボランティア。会場の確保、ポスターやチラシ配り、チケットの販売を行います。この日はチケットの売り上げの確認作業が行われていました。黄色く塗られているのが売れ残っている席。
1975年1月29日。初めての熊本公演はフィガロの結婚で幕を開けました。指揮は日本フィルの創立の父と言われる渡辺暁雄。当時の日本フィルは裁判闘争中でした。団員たちは全国各地でミニコンサートを開き、支援を訴えました。やがて裁判を支えようという労働者の支援が全国に広がりました。熊本でも地元のマスコミと労働者が中心となって、熊本日本フィルの会が生まれました。
プログラムは親しみやすい名曲を中心に選択し、時には市民が参加して運営を続けてきました。
日本フィルは地元の人との交流の場として、ロビーコンサートを大事にしてきました。
2009年日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会
ハチャトゥリヤン:バレエ音楽「スパルタクス」(抜粋)
指揮:アレクサンドル・ラザレフ
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団
2009年10月18日(日) 会場:東京芸術劇場コンサートホール
感想
ハチャトゥリヤン:バレエ音楽「スパルタクス」(抜粋)
冒頭がハチャトゥリヤン!って感じの曲でした。初めて聞くかも。途中からとてもロマンチックだったので、全部聞いてみたくなります。なんか途中で聞いたことあるなぁと思ったら、マイウェイに似てるのかな…
3つ目の楽団は大阪交響楽団です。大阪シンフォニカーの名称で活動をスタート。当時、音楽大学を卒業したばかりの若い演奏家たちが集まって結成しました。新たにできた大阪のオーケストラ。地元のファンもその成長を温かく見守ってきました。2008年にドイツの劇場で活躍していた児玉宏を音楽監督兼首席指揮者に迎え変革を遂げます。
児玉はプログラムに日本ではめったに演奏されない作品を積極的にとりあげ、レパートリーを広げました。また演奏においても、演奏家一人一人の自主性を重んじ、楽団に新しい風を吹き込んだのです。
2010年大阪交響楽団定期演奏会
バーバー:管弦楽のためのエッセイ第1番作品12
指揮:児玉
管弦楽:大阪交響楽団
2010年6月18日(金) 会場:ザ・シンフォニーホール(大阪市)
感想
バーバー:管弦楽のためのエッセイ第1番作品12
バーバーってあの有名な曲しかあまり知らないけど、弦の響きが本当にバーバーというか……。なんでこんなに深淵を覗き込むような響きの曲なんだろうというか、ものすごくきれいで、でも、苦しくて、胸に迫るものがあり、しびれました。
続いては東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団です。1975年東京ユースシンフォニーオーケストラのメンバーが中心となって結成されました。長く牽引したのは指揮者の飯守泰次郎です。ドイツの劇場での経験を生かして、ワーグナーのオペラに取り組むなど、常にオーケストラに刺激を与えてきました。
東京シティフィルに伝えていることは?
僕の棒通りに吹かないでくれ。譜面をよく読んで、その裏を読んで立体的なものを作る。僕がいつもお願いしています。
2007年東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団定期演奏会
ホルスト:組曲「惑星」から 水星 木星
指揮:飯守泰次郎
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
2007年7月26日(木) 会場:東京オペラシティコンサートホール
感想
ホルスト:組曲「惑星」から 水星 木星
単純に曲がすごく好き。フルートとホルンの音が好きだなぁ。しかし、本当にかっちょいい演奏でした!よく聞く曲だけあって、いろいろと理想はあるんですけど、そんなのに邪魔されない名演だったと思います。
あんなホルンを吹きたい!!
あまり聞く機会のない楽団さんですが、実際に聴いてみたいなと思いました。
20世紀を代表する日本指揮者の一人、朝比奈隆。その朝比奈が生涯かけて育て上げたのが大阪フィルハーモニー交響楽団。通称大フィルです。大フィルの歴史が戦後間もない1947年に朝比奈が中心となって設立した関西交響楽団に始まります。朝比奈はベートーベンやブルックナーというドイツの交響曲を得意とし、重厚で迫力のある大フィルサウンドを確立。熱烈なファンを獲得しました。
リハーサルは厳しいことで有名で、常に張り詰めた緊張感に包まれていました。
器用でバイオリンを弾くのをすごく嫌がられたんですよ。手首を使ってこういうのが嫌いで、腕でしっかりと弾きなさいという感じで。
(第2バイオリン(2016年当時)橋本安弘さん(1975年入団))
僕はですね、豊かに音を出せと。ある曲でpで書いてあるから、pで吹いてたら、もっとならせもっとならせと。結構怒られたことありましたね。
(トランペット 秋月孝之(1996年入団))
2014年?2017年に首席指揮者を務めた井上道義さんです。井上さんは大フィル伝統の重厚さを大切にしつつ、新たなサウンドを追求しました。
全く変わってしまうというのも寂しいですし、ずっと聞いてくださっているお客様には、ときには懐かしいと思ってくださる瞬間があってもいいと思いますし、かといって、まったく変わらないというのもなんですから、時代に即してといいますか…。いろんな指揮者の方に触れて進化し続けれたらなと思います。
(第1バイオリン 力武千幸(1998年入団))
もともとベートーベンが初演したときには小さいオーケストラなんです。それを知ったうえで2500人のホールで大フィルがやってきた音楽を多くのお客様の前でやるちゃんとすみ分けて自分の中でやるつもりです。(指揮者 井上道義)
2016年大阪フィルハーモニー交響楽団定期演奏会
ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」から第4楽章
指揮:井上道義
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
2016年7月22日(金) 会場:フェスティバルホール
感想
ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」から第4楽章
エネルギッシュで豊かな音。何度も聞いた曲だけど、そういう音もするのかぁ。という発見のある演奏だったなと思います。
そして、やはり井上さんの指揮姿は美しいなぁと思う。背筋がピンとしていて、足や手の運びが踊るようで、ほれぼれとします。
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