クラシック音楽館 2020年11月15日(日)放送

クラシック音楽館をいくつか撮りためていて、そろそろ消さなければならないので、内容を記録するとともに、感想なども残しておこうかと思います。
クラシック音楽館で好きなのは、リハーサル風景やそのときの指揮者の指示などに触れられたり、指揮者や奏者のインタビューなどが聞けることです。
それもちょっと残せたらなぁと思っています。

オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー第3夜

オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー 山形交響楽団

ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 作品67
ベートーベン:トルコ行進曲


指揮:阪 哲郎
管弦楽:山形交響楽団


2020年9月24日(木) 会場:やまぎん県民ホール

山形交響楽団

指揮台に立つのは、2019年から常任指揮者を勤める阪哲郎です。
山形交響楽団は1972年東北初のプロオーケストラとして誕生しました。
小さな編成を生かし、室内楽のようなアンサンブルと独自の音色づくりにこだわっています。

ベートーベンやモーツァルトの時代に使っていた楽器、ナチュラルブラスを導入。今回の演奏でも活躍します。

そんな楽団の魅力とは

首席トランペット奏者 井上直樹さんインタビュー

外を見ていただいたらわかると思うんですけど、山形市は本当に周りをきれいな山に囲まれていて、私たちは春の新緑の芽吹きから、暑い夏の木漏れ日から、秋の落ち葉、冬の雪の上を歩く音や感触とか、常に自然と共存しているので、音楽づくりの中でそういった感覚がみんなの中に備わっているというところが、ほかのオーケストラとは特徴的に違うかなと思っています。

交響曲第5番、通称「運命」。「運命」といえばこのフレーズ。オーケストラや指揮者による個性が色濃く出る箇所だといいます。

ソロ・コンサートマスター 高橋 和樹さんのインタビュー(高は本当ははしごだか)

最初に実は8分休符があって、そこの休符を指揮でだすわけですけど、世界中のどこのオーケストラに行っても、たぶん、ひとつとして同じタイミングで出ることはないというぐらい。その間合いからすごく緊張感が、いい意味であるんですよね。

首席クラリネット奏者 川上一道さんのインタビュー

クラリネットも弦楽器と一緒に入るんですけど、いつもタイミングはコンサートマスターを凝視して、寸分違わず入れるように、とにかく集中して、弓をみてボーイングを見て、入れるように気を付けてやっています。

誰もが知るポピュラーな曲ですが、この曲にはいまこそ伝えたいベートーヴェンからのメッセージがあるといいます。

首席トランペット奏者 井上直樹さんインタビュー

ベートーベンの交響曲にはそれぞれにテーマ性があって、特にこういう時期(コロナ禍でした)には、1つ1つの曲に込めるメッセージがあると思うんですけど、中でも第5番の運命は、ハッピーな新しい次のいい時代に向かって勝利をつなげるすばらしい曲

常任指揮者 阪哲郎氏のインタビュー

「苦悩を越えて歓喜へ」というベートーベンの生涯のモットーみたいなものと、今の(コロナの)状態っていうのはリンクしないわけにはいかないんですよね。この歓喜を皆様と一緒に分かち合いたいというのは、彼の願いだし演奏する僕たちの願いでもあるので、皆さんで聴いてくださればと思います。

感想

山形交響楽団ってバボラークさんとのご縁もあるし、気になってたんですよね。
聴けて嬉しいです。
こんな念入りなチューニングまで放送してくれるのかというところから。

ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 作品67

指揮台に立って、結構すぐに始まってびっくりしました。そして、ホルンがナチュラルホルンじゃないですか。演奏に使ってるの初めて見ました。気のせいか山の響きを感じます。第1楽章の終わりの1音の切り方が、柔らかくてキュンっとしました。

響きがとても柔らかくて、苦悩から歓喜というよりは、始終丁寧に寄り添ってくれるような演奏だなぁと思いました。第2楽章の終わりの方のクラリネット(かな?)の伸ばした音にうっとりとしてしまいました。

第3楽章の最初に出てくるホルンの「チャチャチャチャー、チャチャチャチャー、チャチャチャチャー、チャラララ」というところの響きの美しさにドキドキしてしまいました。

こんなに角のない「運命」は初めて聞いたかも。苦悩から歓喜というよりは、始終丁寧に優しく寄り添ってくれるような気持になりました。フラグを振って鼓舞して勝利をつかむような演奏ではなくて、歓喜も爆発的でなくてもゾクゾクするような歓喜でした。最初から最後まですごく幸せな気持ちになりました。

ホルンの和音をはじめ、金管の響きがすごくきれいで、ずっと聴いてたい響きだなと思いました。

トルコ行進曲

これ、ベートーベンなんですよね。モーツァルトも作曲しているし、由紀さおり姉妹とか阿佐ヶ谷姉妹でそっちが有名になっちゃったので……。でも、可愛い演奏。
Bravoのタオルはいいなぁ。コロナじゃなくても欲しい。

オーケストラでつなぐ希望のシンフォニー 大阪フィルハーモニー交響楽団

ベートーベン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーベン:交響曲第6番


指揮:尾高忠明
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団


2020年9月10日(木) 会場:NHK大阪ホール(無観客)

大阪フィルハーモニー交響楽団

通天閣のほど近く、大阪西成に練習場を構える大阪フィルハーモニー交響楽団、通称「大フィル」。指揮は2018年から音楽監督を務める尾高忠明です。

大フィルは1947年関西交響楽団として、指揮者朝比奈隆を中心に創立。その後オーケストラと朝比奈さんの関係は55年も続き、関西を代表するオーケストラとして長年親しまれてきました。

尾高忠明氏インタビュー

大阪フィルは何といっても朝比奈隆先生ですね。朝比奈隆先生がおつくりになったオーケストラです。こんなに長く一つのオーケストラに携わって、一生懸命にそのオーケストラに尽くしたってのは、本当に世界的に例がないと思います。ですから、そのDNAは絶対になくならないと思います。

ホルン・トップ奏者 高橋将純さんインタビュー

やっぱり僕らも自覚しているんですけど、すごく個性的なメンバーがだいぶ集まってまして、時々はぶつかることもあるんですけど、かみ合ったときにものすごいエネルギーや音楽が生まれてくるので、そういう意味ではすごく楽しいオーケストラですよね。

個性豊かな演奏者たちが奏でる「田園」。どんな演奏になるのでしょうか。

尾高氏 リハーサル中

感じとしては、めちゃ明るく。もっともっと明るく。うれしくてしょうがない!
彼の住んでいたところの裏は本当に小川ですよ。バッハ(小川)がいっぱい流れていて、とても自然を愛していた。そこに出た彼のうれしさ。

ホルン・トップ奏者 高橋将純さんインタビュー

リハーサルをやっていて、尾高さんが一度止められて、「もっと明るく、明るく」って話をされていて。やっぱりこの(コロナ)間に、僕らの心はちょっと変わってしまった部分もありますし、そういう部分を音楽が思い出させてくれた

クラリネット・トップ奏者 船隈慶さんのインタビュー

コロナの中でストレスが溜まってしまったりしたけど、この牧歌的な平和な田園風景が浮かぶ曲を演奏させていたえだけることはありがたく思っています。

尾高忠明氏インタビュー

僕たちはベートーベンという作品を今日も練習していて、目の前にしたときに襟を正さなければいけない。彼が何を感じていたのか、何を書きたかったのかっていうのは、本当にビンビン来る。明らかにベートーベンのパワーが未だにそこにある。そのパワーはすべての譜面に乗り移っている。僕たちは譜面を見て、演奏して、例えば今日練習しているだけで、わーっと「こういう風にやってくれよ」って言ってる。それが僕たちを奮い立たせてくれる。すごい人だなと思いますね。

公演当日。この日は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、聴衆への公開を取りやめることに。無観客でのテレビ収録となりました。

クラリネット・トップ奏者 船隈慶さんのインタビュー

あの、当然のように演奏会を行っていたのは、まったく当然じゃなかったんだなということを実感して。お客様がいらっしゃらなくても、カメラを通して音楽を届けられる機会をいただけるということに感謝しています。

ホルン・トップ奏者 高橋将純さんインタビュー

僕ら演奏するほうもそうですけど、聴く方もそれぞれの一番の美しい思い出というか、そういう自然の風景にリンクするというか、「自然って素晴らしいな」というところにリンク出来たらなという思いですね。

ソロ・コンサートマスター 崔文洙さんインタビュー

今もコロナの嵐がやってきているわけですけれど、それもいずれは晴れるだろうっていうかね、過ぎ去って必ず終わりはあると思うので、その終息を願ってね。大フィルとしては1番ベストな状態で最高の演奏をしたいと思っています。

感想

朝比奈隆氏の大フィルなのですね。関西初のプロオケというのは知らなかったです。一度も聞きに行ったことがありません。一度ちゃんと生で聞いてみたいなと思います。

ベートーベン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲

第2夜で群響が「終曲」をしていたのに対してこちらは「序曲」です。美しいなぁとしんみりとしてしまうような静かな始まりがちょっと意外でした。そして、わくわくするようなテンポへ。素晴らしい演奏なのに、演奏後に観客からの拍手がないのは寂しいものですね。やはり最後の拍手と奏者のねぎらいがあってこそ、とう気がしました。寂しい……。

交響曲第6番「田園」

ああ、やはり美しいなぁ。始まりからニヤニヤしてしまう。授業できいたりした学生時代はそんなに好きじゃなかったけど、大人になればなるほどこの美しさや明るさに、なんだか救われる気持ちがわかるようになりました。

「田園」はフルートなどの木管の使われ方というか演奏が素晴らしいと思います。すごくキラキラして、小鳥のさえずりと揺れる若葉や草花とそこに当たる陽の光を感じるような演奏だなと思いました。強い音も柔らかくて、心地がよい演奏でした。

第2楽章も小川の流れにときどききらめくような光を感じます。この音の流れが作り出す穏やかな時間がとても好きです。

第3楽章のコントラバスがドコドコ弾くところがすごく好きです。クラリネットの音がとてもきれいだなぁと思いました。

第4楽章も迫力があるのにキレイで、心煽られるいいテンポでした。

第5楽章の冒頭のタララタララタララタラララってところは大好きで、たまにホルンで吹きます。その後の弦が奏で、ホルンや金管が引き継ぐ流れるようなメロディが最高に気持ちよいです。少ない音のくりかえしで、こんなに美しい音楽になるのだから、本当に天才ですよね。そして、第5楽章に入って音楽がとても美しければ美しいほど終わってほしくないと願ってしまいます。最後の方、とても小さく奏でてから、大きく奏でるところなんか、小さくて美しいものを大事に大事にしているような優しさがあって、それだけでもう幸せな気持ちに満たされます。

こんなに素晴らしい演奏なのに、拍手がないのは本当につらいですね。嫌な時期でした。

コンサートα

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第12番 変イ長調 作品26「葬送」


ピアノ:アンドラーシュ・シフ

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