クラシック音楽館 2021年9月12日(日)放送

クラシック音楽館をいくつか撮りためていて、そろそろ消さなければならないので、内容を記録するとともに、感想なども残しておこうかと思います。
クラシック音楽館で好きなのは、リハーサル風景やそのときの指揮者の指示などに触れられたり、指揮者や奏者のインタビューなどが聞けることです。
それもちょっと残せたらなぁと思っています。

N響演奏会 指揮 下野竜也

今聴いてほしい音楽ということで、楽しいとかわくわくとかする音楽ではなく、今回は静かに音楽を通していろんなことを考えたり、願ったり、祈ったりする時間がいいなと思って選んだ曲ですと下野氏は語った。

NHK交響楽団 6月公演

フィンジ:前奏曲 作品25
ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム 作品20
ブルックナー:交響曲第0番


指揮:下野竜也
管弦楽:NHK交響楽団


2021年6月11日(金) 会場:東京芸術劇場

フィンジ・ブリテン

下野氏 インタビュー

フィンジの前奏曲の魅力とは

なんといっても旋律の美しさだと思います。そしてその中に心を刺すような不協和音が使われているんですけども、何か胸が苦しくなるというのが含まれていて、でも、最後には解放されるといいますか、そこに希望が見えてくるという、素晴らしい作曲家です。

ブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」とは

シンフォニア・ダ・レクイエムをコロナ禍に直接結びつけるものはありませんが、いろんな戦ったり傷ついたりしたものが最後には浄化されるというストーリーがあります。
ブリテン自身が2楽章の死の舞踏と言っています。何か襲い掛かってきたり、いがみ合っているものを表しているのかもしれません。その後に平安がやってくるんですけど、この曲を聴くことで気持ちが城下されるのではと思っています。

ブルックナー:交響曲第0番

0という数字が付けら得たのは、1番よりも前という意味ではなくて、「交響曲として数を数えるに値しない無価値」作曲者本人によって封印された曲はブルックナー生前に発表されることはありませんでした。

下野氏 インタビュー

作者自身が無効としたのはいろんな理由があると思うんですけど、1楽章は他の交響曲に比べて、彼の中で手詰まり感があったんだと思います。主題を発展させて曲を作るというのが困難だったけど、主題を捨てることはできなかったという彼の執着があったのではないかなと思います。1楽章が一番構成感ないような感じがするかもしれません。2楽章や3楽章はブルックナーだなという感じでとても聞きやすいと思うんですけど

この作品を聞いていただくときに、のちの7番8番9番を書いたブルックナーに会うのではなくて、ベートーベンの第9番のような交響曲を書きたいといろんなことにトライしているブルックナーさんに会っていただけたらいいなと思うんですね。だから0番の中に自分は、ワーグナーが影響があるなとか4楽章はタンホイザーやオランダ人のような音がしてるところもありますし、3楽章なんかはちょっとマッチョなメンデルスゾーンだったり、いろんなものがあると思うんです。そこに憧れがありつつも、やっぱりブルックナーだなという片鱗があって、そういうのを、にやっとしながら聞いていただけたらいいかなと思います。

0番は有名ではありませんが、後期と比べて構成も少し弱いと思うんですが、ブルックナーの静謐な祈りの音楽があったりするところが大変魅力的だと感じましたので、そういうところを聞いていただきたいと。今世の中が疲れていると思うんですね(コロナ禍)。疲れているという言葉は不適切かもしれませんが、今までにない経験をしているので、最前線で頑張っておられる医療従事者の方と比べたら、私は苦労に入らないと思うんですが、いろんな面で気持ちが疲弊してしまっているなと思うんです。そういうところに、静かに祈って、心をいやすというか和らげる、静謐な音楽に身を浸していただいて、静かな時間を過ごしていただけたらいいなと思っています。

個人的に確認した奏者

コンマス 篠崎史紀
ホルン 今井仁志/勝俣 泰/木川博史/野見山和子
トランペット 長谷川智之

感想

フィンジ:前奏曲 作品25

フィンジの曲は大好きで、N響でするのは珍しいのではないかと思いますが、とても嬉しかったです。一時期習っていたバイオリンの先生に、先生が所属しているアマチュア楽団の規模にちょうどいいのではとこのCDを紹介したことがあるんですけど、「全部同じ曲に聴こえる」って一掃されたのを思い出します(笑)。でも、好きです。不協和音というのには気づかなかったけど、もの悲しいのに、どこまでも美しい曲で、聴くだけで涙が出てきそうになります。

ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム 作品20

フィンジの前奏曲が終わって、間髪入れずにこの曲に移る演出はぞくっとしますね!ティンパニの音が一層効果的に聞こえてきます。ホルンの響きがとても美しいし、最後の美しいフレーズ響き伸びやかな音を聞いて、壮大な広い祈りには弦の響きが一番しっくりくるなぁと思いながら聞いていました。美しい曲でした。

ブルックナー:交響曲第0番 ニ短調

下野さんの視点というか、言葉や表情がいつもいつも優しくて、本当にいい人なんだろうなぁ、好きだなぁと思います。「マッチョなメンデルスゾーン」という表現が好きすぎる(笑)私はスタニスラフ・スクロヴァチェフスキの影響でブルックナーを聞くようになって、いろいろと聞いてみますが、0番ってあまり聞かないなぁと思います。和音がブルックナーだなぁと思いながら聞きました。1楽章の終わりとか、ブルックナーっぽい。
そして、「マッチョなメンデルスゾーン」と言われたら、どんなのか気になりますよね。

ブルックナーのホルンの和音って、なんか本当に「祈り」の響きがするなと思います。単純に美しいというものではない響きです。難しくてよくわからない。ブルックナーの和音の響きって、ブリテンやホルストにも感じる響きがあるんだけど、普通の和音と何が違うんだろう……。

3楽章がかっこよくてびっくりした。4楽章もホルンが、金管がめちゃくちゃカッコイイ。吹奏楽をやっていて、時々指揮者に「ここはブルックナーっぽく」と言われるとき、こういうのが期待されているんだろうなぁと思います。

バッハ オルガン名曲選

バッハ:
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
G線上のアリア BWV1068-2
パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582


オルガン:富田一樹


2021年3月18日 サントリーホール

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