クラシック音楽館 2021年10月3日(日)放送

クラシック音楽館をいくつか撮りためていて、そろそろ消さなければならないので、内容を記録するとともに、感想なども残しておこうかと思います。
クラシック音楽館で好きなのは、リハーサル風景やそのときの指揮者の指示などに触れられたり、指揮者や奏者のインタビューなどが聞けることです。
それもちょっと残せたらなぁと思っています。

NHK交響楽団 第1936回定期公演?

NHK交響楽団首席指揮者として7年目(2021年)を迎えたパーヴォ・ヤルヴィ。

首席指揮者として最後のシーズンです。これまでの成果にとても満足しています。パンデミックのために実現しなかった計画は少し残念ですが、世界中みんな同じです。一方で大局的にとらえれば、今できていることに感謝しなければなりません。

「中国の不思議な役人」はハンガリーの作家レンジェルが発表した少女に男を誘惑させ、略奪を繰り返すならず者たち、その標的となった中国の役人と少女をめぐる暴力とエロティックなイメージ追い追われた作品です。バルトークはその作品を「驚くほど美しい物語」と評し、作曲を始めました。

これはかなりいかがわしい物語で、この物語を選んだこと自体が大胆です。バルトークの内面世界がうかがえます。彼は奇抜で刺激的なストーリーを選ぶ癖があったようです。他には妻をみんな殺してしまう「青ひげ公の城」がありますね。これらからわかるのはバルトークの一風変わった暗くドラマチックな側面です。鮮烈な色付けができるテーマを見つけることが動機だったのでしょう。少女の主題は毎回わかりやすくはっきりと聞き取れます。クラリネットのカデンツァです。そして邪悪な犯罪者たちが客を追いかける様子がおどろおどろしく表現されます。とても視覚的でバレエや舞台作品として書かれたということが聴いていてわかります。

「管弦楽のための協奏曲」はバルトークが亡くなる2年前に書かれた作品です。

大好きな曲です。単なる傑作にとどまりません。タイトルが誤解されやすいかもしれませんね。協奏曲といえば奏者の技術力を披露するための技巧的な曲を思い浮かべるでしょう。もちろん音楽的な中身はありますが、まずソリストの能力を見せるのが協奏曲です。ですから管弦楽のための協奏曲といえば、技巧的な曲という意味合いになります。オーケストラの各パートの力を最大限に試す。確かにそれもあるしそれも正しい。とても複雑ですべてのパートの奏者が極限まで力を試されます。同時にこの作品にはドラマチックな背景があるのです。技巧的で華麗なだけでなく、本質的な中身がある。この曲を書いたときバルトークは白血病で死に向かっていました。だからこの曲の緩徐楽章の悲歌はこれほど悲劇とドラマに満ちているのです。単に華麗なだけの音楽だとはだれにも言えません。

心からの切実な音楽で避けられない死を見据えています。夜の音楽に始まってとてつもない苦悩といらだちが表れます。失われてしまった可能性への悲しみです。最後は「もう遅い終わりだ」と言っているようです。結果としてある意味でとても感動的な作品になっています。自伝的な作品なのです。

指揮者にとっても奏者にとっても本当に難しいのは、信ぴょう性のある音楽づくりをすることなのです。単にすごい技や速い演奏を聴きたいだけの人はいません。それはじきに飽きてしまいます。曲全体を通じ本物の物語を作り上げるのです。この作品は20世紀の傑作の作品の一つ。いえ20世紀と言わず音楽史全体の偉大な傑作のひとつなのです。

NHK交響楽団 第1936回定期演奏会

バルトーク:組曲「中国の不思議な役人」
バルトーク:管弦楽のための協奏曲


指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
管弦楽:NHK交響楽団


2021年9月10日(金) 会場:東京芸術劇場

個人的に確認した奏者

コンマス 篠崎史紀
フルート 神田寛明
クラリネット 松本健司
ホルン 今井仁志/勝俣 泰/木川博史/野見山和子
トランペット 菊本和昭
トロンボーン 黒金寛行
チューバ 池田幸広

感想

バルトーク:組曲「中国の不思議な役人」

めっちゃチューバとバストロンボーンが抜かれてたなぁ。ものすごいトロンボーンがカッコイイ曲だ……。

バルトーク:管弦楽のための協奏曲

確かにパーヴォさんのおっしゃるとおり、ただの「協奏曲」というイメージがなくて、逆にタイトルをあまり気にしてなかったです。バルトークが迫る死を知りながら作ったという解説で、この音楽がいつもどうしてこんなに心を打つのか、がよく分かった気がします。

そして、金管が素晴らしくて、めちゃくちゃカッコイイバルトークでした!どうしても金管を聞いてしまうのですよ……。菊本さん素敵。好き。ホルンも素敵。トロンボーンも、チューバも素敵でした。

パーヴォ・ヤルヴィ氏の指揮は好きなので、パンデミックで失われた演奏機会というのはとても惜しいなと改めて思いました。

Chick Corea Forever

チック・コリア 2021年2月9日 永眠

2016年N響第1835回定期公演に出演。「2台のピアノのための協奏曲」(モーツァルト)を演奏

小曽根真氏とチック・コリア氏

チック・コリア氏はクラシックから離れていたけど、小曽根氏のN響も尾高先生も素晴らしいよ、僕を信じて!という言葉に共演をされた。チック・コリア氏は演奏後、「もっとこういう演奏をしたい。バルトークの3番をしたい」と話されていたそう。

(確かに、チック・コリア氏ってジャズのイメージが強いから、クラシックでN響で共演されてたというのは、すごく意外でした)

NHK交響楽団 第1835回定期公演

モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365



指揮:尾高忠明
管弦楽:NHK交響楽団
ピアノ:小曽根真 チック・コリア



2016年5月14日(土) NHKホール

感想

お二人ともジャズで有名じゃなかったっけ?と思いつつ聞きました。ちょっとモーツァルトっぽくないというか、私がよく聴くモーツァルトって「こんな感じ」とはちょっと違う感じがしました。けど、とってもピアノがコロコロしているというか、軽いというか、明るいというか、踊っているというか、なんか、楽しそうな感じがしました。ピアノだけ自由に弾いてるところは、「ラプソディ・イン・ブルー」でも聞いてる気分にはなりました。指揮者の尾高さんがすごく楽しそうに聞いてらしたのが印象的。
N響はいつも通り、安定しているって感じで、この二つが不思議な感じはしたけど、これはこれで、そのときにしか味わえない音楽の良さなのかも。

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