クラシック音楽館 2021年12月12日(日)放送

クラシック音楽館をいくつか撮りためていて、そろそろ消さなければならないので、内容を記録するとともに、感想なども残しておこうかと思います。
クラシック音楽館で好きなのは、リハーサル風景やそのときの指揮者の指示などに触れられたり、指揮者や奏者のインタビューなどが聞けることです。
それもちょっと残せたらなぁと思っています。

N響演奏会 

NHK交響楽団 第1941回定期演奏会

ステンハンマル:セレナード ヘ長調 作品31
ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 作品67


指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
管弦楽:NHK交響楽団


2021年10月27日(水) 会場:サントリーホール

ブロムシュテット氏 ステルハンマルについて

ステンハンマルはスウェーデンノ後期ロマン派の作曲家で、私が生まれた1927年に亡くなっています。彼は典型的な古典主義者でベートーベンに精通していました。ワーグナーではなくベートーベンです。彼はとても大きな手を持ったピアノのヴィルトゥーゾでした。彼は生涯ピアニストとして活躍しました。特にベートーベン弾きとして有名でした。ピアノ・ソナタ全曲を国内外で演奏しました。グリーグやシベリウスなど、他の北欧の大作曲家は名演奏家とは言えませんでした。この点ステンハンマルは例外です。偉大なピアニストでした。なので、無名のステンハンマルの作品を、彼が理想トシタベートーベンと組み合わせようと思ったのです。
ベートーベンの伝統の上にあるステンハンマル。彼の音楽は盛期ロマン派でありながらも、古典的なのです。

ステンハンマルはブロムシュテット氏の祖国スウェーデンの作曲家ですが、ブロムシュテット氏が取り組むようになったのは最近のことです。

私はもう37年間祖国を離れていますが、私を育ててくれたのはスウェーデンです。後ろめたい気持ちがあったので、外国でもっと祖国を紹介しようと思ったのです。私がステンハンマルを演奏したのは最近のことです。昔スウェーデンで最初に指揮したオケは編成が小さく演奏できず、交響曲や今回演奏するセレナードなどを初めて演奏したのは80歳になってからです。思い返すと少し後ろめたい気持ちがありました。25年前から首席の仕事を退くことで、北欧の音楽をより多く演奏して、今までの罪滅ぼしをする時間ができました。質の高い作品が多いので、喜んでその仕事にとりかかっています。

ベートーベン:交響曲第5番、ブロムシュテット氏がN響とこの曲を共演するのは25年ぶりです。

ブロムシュテット氏 2016年に来日したときのインタビュー

「運命交響曲」はドラマティックです。最初から最後までとてつもない意志の表現。約35分の強い意志表明です。ベートーベンは胆汁質(激しい気性や怒りっぽさ、行動的な性格のことらしい)の人間で意志が強く決然とした性格でした。荒々しいだけでなく、繊細で意思強固。そこに人々は惹かれるのでしょう。意志を避けることはできず、ベートーベンに腕をつかまれているようです。ベートーベンは音楽で自分自身を語りません。彼は悩み多き人で、聴力が衰え、作曲当時ほとんど聞こえませんでした。音楽家にとって恐ろしい運命ですが、彼は耳ではなく、頭で音楽を聴いて、作曲を続けたのです。でも決して自分自身の悩みを語らず、語るのは人類の運命です。

最初はハ短調。音楽家にとっての運命の調。悲しみの調というだけでなく、運命の調、劇的な調性です。しかし、最後はハ長調になります。明るい勝利。問題は克服され、決着します。

個人的に確認した奏者

コンマス 篠崎史紀
チェロ 辻?本 玲
フルート 甲斐雅之
オーボエ ?村結実
ファゴット 水谷上総
ホルン 今井仁志/木川博史/野見山和子
トランペット 長谷川智之

感想

ステンハンマル:セレナード

北欧っぽい和音が好きです。
「古典的なのかな?」とか詳しいことはよくわからないのですが、弦の和音がとても清涼な空気を感じさせて、北欧らしさがありました。
一方で、管楽器の雰囲気はベートーヴェンやブラームスっぽいな、という印象もありました。

ホルンは、いつも2段目の右側に座っている野見山さんが、今回は1段目の右側にいて、珍しかったです。

途中のヴァイオリンとチェロの掛け合いが好きでした。
ヴァイオリンはコンマスの篠崎さん(まろさん)で、美しい響きに澄んだ気持ちになりました。

個人的な感想ですが、「セレナード」というタイトルにはもっと軽やかな小品のイメージがあったので、そういうつもりで聴き始めたのですが、実際にはいろんな要素が詰め込まれた、交響曲のようなスケールの作品でした。
最初は「きれいな曲だな」と思って聴いていたのですが、かっこいいフィナーレで終わるのかなと思ったところから、さらに深みのある展開があって、意外性もありました。
そして、かわいらしく終わる。ちょっと意外過ぎる。

ベートーベン:交響曲第5番

あの「ジャジャジャジャーン」という、あまりにも有名な冒頭。
これを必要以上にドラマティックに演奏されると、正直ちょっと引いてしまって、聴く気が失せてしまうことがあります。
でも、さすがブロムシュテット氏。そういった“盛りすぎ”な演出は一切なく、自然体で、音楽そのものの力を信じた指揮がとても心地よかったです。

しかし、水谷さんのファゴットはいつも「はっ」としますね。なんか色香のようなものを感じる……。

第4楽章の冒頭で見せたブロムシュテット氏の笑顔に、思わず私もにやーっとしてしまいました。
そしてやっぱり名曲。何度聴いても、どんな演奏でも楽しめる曲で、気づけば35分があっという間です。

それから、この曲はホルンがたっぷり楽しめるのも好きな理由のひとつです。
福川さんももちろん素敵ですが、今井さんのホルンも大好きです。
N響ホルン、やっぱり最高にカッコイイ?!思いっきり堪能しました(^^)

ブロムシュテット氏は2025年も来日してくださるそうですけど。楽しみですし、でも、ご無理なさらず、いつまでもお元気でいらしてほしいなぁと思います。

コンサートα

NHK交響楽団 第1941回定期公演

ニルセン:序曲「ヘリオス」
シベリウス:交響詩「タピオラ」


指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
管弦楽:NHK交響楽団



2003年2月6日 NHKホール

感想

さすがに22年前。お若い。篠崎さんもお若い…。
ニルセンとシベリウスのどちらの曲も初めて聴きました。

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