クラシック音楽館をいくつか撮りためていて、そろそろ消さなければならないので、内容を記録するとともに、感想なども残しておこうかと思います。
クラシック音楽館で好きなのは、リハーサル風景やそのときの指揮者の指示などに触れられたり、指揮者や奏者のインタビューなどが聞けることです。
それもちょっと残せたらなぁと思っています。
N響演奏会
NHK交響楽団 第1951回定期演奏会
シューマン:「序曲 スケルツォとフィナーレ」作品52から「序曲」
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
(アンコール)ショパン:ワルツ 変イ長調 作品42
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 作品61
指揮:下野 竜也
管弦楽:NHK交響楽団
ピアノ:小林 愛実
2022年2月5日(土) 会場:東京芸術劇場
下野氏は2005年以来定期的に共演を重ね、下野氏オリジナルの意欲的なプログラムは高く評価されてきました。
下野 竜也氏 インタビュー
(オールシューマンのプログラムの聴きどころ)
別に図ったわけではないのですが、結構同じシューマンの充実している時期(1841?46)に書かれている作品が並んでいるというのも興味深いと思いますし、今日の曲の中で一番プログラムに挙げられる回数の多い曲は「ピアノ協奏曲」だと思いますが、それを中心にそのときのシューマンの音を聴いてもらえればと思っています。
小林 愛実氏 インタビュー説明
(シューマンについて)
シューマンはどちらかというと、すごく感情だったりを作品の中で表現する作曲家の一人だと思うので、そういう作曲家の方が自分に近しく感じて弾きやすいかなと感じます。
(ピアノ協奏曲について)
シューマンの協奏曲は5年ぶりに演奏するんですけども、前回感じていた音楽とやっぱり違うんですよね。改めて勉強してみると。いい曲だなすばらしい作品だなと思うのと同時に、難しいなって思うところがたくさん出てきて。けれども、その間に経験してきた人生というものがあるから、もっとこの作品にいろんな感情だったりを乗せて演奏できるんではないかなと思うので、今の自分の感じる音楽を作品の美しさの上に乗せて演奏すればいいのかなと。今の自分として堂々と自信を持って、今の自分の音楽を楽しめばいいのかなって
シューマンはピアニストのクララと結婚し、この作品もクララの手で初演を果たしています。シューマン亡き後も、クララは生涯この曲を大切にしたと言われています。
シューマンはクララっていう存在をイメージして書いている部分が多いと思うので、そこをちょっと想像しながら聴いてもらえたら面白いかなと思うのと、シューマンはクララを思って書いている部分が多くて、クララもシューマンを思って演奏したと思うので、すごく温かくて愛にあふれる作品だと思うので、その素晴らしい作品を楽しんでいただけたらと思います。
個人的に確認した奏者
コンマス 白井圭
チェロ 藤森亮一
フルート 神田寛明
オーボエ 吉村結実
ファゴット 水谷上総
クラリネット 松本健司
ホルン 今井仁志/石山直城
トランペット 長谷川智之/山本英司
感想
シューマン:「序曲 スケルツォとフィナーレ」作品52から「序曲」
下野氏の笑顔はいつも見るだけでほっとするねぇ。
音のなんていうか、爽やかさにうきうきしながら聴いていたら、あっという間に終わってしまいました…。
シューマン:ピアノ協奏曲
シューマンのピアノ協奏曲は「最も演奏される機会の多い協奏曲のひとつ」と紹介されますが、私はこれまでほとんど聴いたことがなかった気がします。けれど今回の演奏は、冒頭のオーボエの歌と、それに続くピアノの零れ落ちるような響きから、一気に心を掴まれました。
よく「ピアノ一台でオーケストラ」と言われますが、正直その意味が分からなかったのです。ところが小林さんの演奏は、高音も低音もとても豊かで、多彩な色合いを持って響いていて――ああ、これが「ピアノでオーケストラ」ということなのか、と実感できました。
不思議なことに、特別なクライマックスでもない場面で、涙がボロボロとこぼれてしまいました。曲の力なのか、小林さんの演奏の力なのかはわかりません。ただ、ピアノ演奏を聴いていてここまで心を揺さぶられたのは、私にとって初めての体験でした。
ピアノとオーケストラのバランスも素晴らしかったです。優しく寄り添いあっているように感じました。これは下野さんの音楽づくりと、N響の確かな技術の賜物でしょうか。冒頭から最後まで、没頭して協奏曲を聴けたのも今回が初めてでした。
あと、小林さんの臙脂のドレスがとても素敵ですし、音符のネックレスがとってもかわいかったです。
次に演奏するのは、シューマンの交響曲第2番です。下野氏とNHK交響楽団は2020年9月に4番、2021年2月に3番、そして今回2022年2月に第2番と立て続けに演奏してきました。
下野 竜也氏 インタビュー
(シューマンの魅力)
シューマンが描いている音の響きというのは、赤!黄!緑!とはっきりした色ではなくて、淡い色、いろいろなグラデーションというのが魅力だと思います。彼が使っている和声というのが、本当に僕には「がっ」と鷲掴みにするのではなく、静かに「ああこの音いいなぁ」というものがちりばめらていて、それが非常に好きですし、やはりこの作曲家は歌曲の人なんだなぁって思うんですね。だから、歌が全編に流れている。長い旋律線があるのも魅力の一つだと思うんですけども。
1845年12月からおよそ1年かけて作曲されました。その間シューマンは作曲できないときもあるなど、精神的に不安定な状態だったといいます。
(シューマン:交響曲第2番)
これはシューマンが精神状態が良くないということを思って聞くと、そういう音でしか聞こえてこなくなるというのもあると思うんですね。あるドイツの指揮者は「そんなことは関係ないよ」とおっしゃる方もいらっしゃるんですけども、自分はそういう状態で書かれたんだと知ってしまった以上、どうしてもこういうところかなと思う場面もありますけど。
すぐ暗い方向に行く交響曲だなとは思います。さっきまでご機嫌がよかったのに、急に人の話を聞かなくなってしまうというか、「元気だよ」と話しているのに、一瞬その人から目を離すと、うつむいているとか、そういうのは自分の妄想ですけども。音楽がすぐ暗い方向に行く、そしてまた明るい方向に行く、そういうのがシューマンの交響曲4つの中では一番顕著だなという風に思います。ですので、4楽章の最後に本当に晴れやかな、ベートーベンの歌曲からの引用と言われているメロディを使って、高らかにオーケストラで歌っているという音楽に来た時の達成感、幸せというのを感じますね。感情の起伏が他の作品に比べて非常に激しいと思います。それにオーケストレーションがダイナミクス、強弱が非常に「いびつ」です。その「いびつさ」をマイルドな方にするという方法もあると思うんですけど、やはり彼の書いている「いびつさ」を強調というか、そのままやるというのがいいのではないかと思って。
そこをこの交響曲を演奏するにあたって、やはり見逃してはいけないとうか、普通のなだらかな、きれいな作品、かっこいい作品ってだけで終わらせないほうがいいのかなと思っています。ですから、シューマンがあまり人気がないとおっしゃってますけど、特に2番はプログラムにあがる回数が少ないと思いまう。「春」という名前がついている1番とか「ライン」という名前がついている3番とかと比べて、演奏会に上がりにくいというのは、そういうちょっと近寄りがたい雰囲気があるのかなと思っていますが、自分はとっても大好きな惹かれる作品です。
感想
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 作品61
まずは、下野氏の音楽に対しての優しい愛情にあふれるインタビューに、うるっとしてしまう。ドラクエのコンサートの時も思ったけど、本当に音楽に対して、なんていうか、人(作曲家)に対しての愛情を含めた真摯さのある方だなぁと思います。
すぐに暗い方に行こうとする、という解説を聴いても、私の未熟な感性ではわからなかったけど、第4楽章はコントラバスの刻みがめちゃくちゃかっこよくて目が覚めましたよ。
私的には交響曲第4番の方が暗い気がしているのです(笑)
コンサートα
ショパン:前奏曲 作品28 第16曲?第24曲
ピアノ:小林愛実
2021年2月8日(日) 府中の森芸術劇場 ウィーンホール
感想
やはり、音がとても豊かで、たくさんの響きを、はらんでいるような、演奏でした。ショパンの前奏曲って、もっとシャープでクリアなのかと思ってたけど、こんなにドラマティックになるのかと……。
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