スクロヴァチェフスキ指揮 ザールブリュッケン放送交響楽団 兵庫公演

スクロヴァチェフスキ指揮 ザールブリュッケン放送交響楽団 兵庫公演

【とき】2006年12月6日(水) 開場 18:15/開演 19:00
【ところ】兵庫県立芸術文化センター 大ホール
【指揮】 スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
【演奏】ザールブリュッケン放送交響楽団
【曲】
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」op68
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」op.67

2年前にN響アワーで、スクロヴァチェフスキ(以下敬称略。心の中では愛情をたっぷり込めて、「お爺ちゃん」と呼んでいます)の振る第5番「運命」を聞いてから、この指揮者の大ファンになりました。
その日は、友人と焼肉を食べに行く約束をしていて、予定がそのままであれば、決してN響アワーを見ることはなかったと思います。
それが、まさに運命のように起こった腹痛。焼肉を食べにいけないことを呪いながら、不貞寝をし、さらに痛くなるお腹を抱えてリビングに行ったら耳に飛び込んできた、ベートーヴェンの「運命」。
たまたま父が見ていて、たまたま私が通りがかり、そのときに一瞬にして引き込まれてしまったのでした。
まさに運命でしょう!

それから、スクロヴァチェフスキの紡ぎだす、なんとも言えない緻密で美しいバランスの虜になっていったのでした。
きちんと制御された各楽器の音、音の強弱から出るダイナミックさ、ロマンチックさ。
美しさをそのまま美しく伸ばして広げ、響き渡らす。
本当にオーケストラに美しい歌を歌わせることのできる指揮者だと思います。
本当に大好きです!

2006年は、スクロヴァチェフスキと手兵・ザールブリュッケン放送交響楽団が、ベートーヴェン・チクルスをオペラシティで行うと聞いて、じだんだを踏んだものでした。
絶対聞きたい5番。そして、聴いてみたい9番。
これが月と金と、なんとも休みの取りにくいところに入っていて。泣く泣く5番を断念。9番だけを東京まで聞きにいける休みの取り方を考えていたのです。
その後、兵庫にやってくると知り、かつ、演目が第5番第6番と知り、狂喜乱舞しました。平日だろうが行く。半日有給とって行く!
片道3時間だろうがなんだろうが、行きます!
と、誓い、こんな機会は今後ないかもしれないと、ファンレターを英語でしたためて、持参したのでした。

さて、今回は一人で行ったのですが、席、かなり前でした。
チケット頼んだときは丁度いい場所だと思っていたのですが、そのときの座席表に書かれていた前の4列が、隠し席みたいなのだったのかな? えっらい前になってしまいました。前から6列目。ううーん、あと4列ほどさがりたかったなぁ。

そして、ゾクゾクと埋まる席に反して、ぽつんと空いている私の隣。
その横で、始まる前からの興奮状態と、コンタクトで左目が痛くなったので、涙が出てきて拭う私。
なんとなく、「一緒に来るはずだった彼と別れて一人涙している様子」に見えるんじゃないかなぁとか思っちゃったり。
そんな風にくだらないことでも考えてないと、暴れそうなぐらい興奮してましたわ。

さて、本題。感想に参ります。

ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」op68
私、「田園」があんなにエキサイティングな曲だとは思っていませんでした。
始まりの美しさにうっとり。演奏している人も、本当に幸せそうな笑顔で吹いておられました。
とくにチェロの一番前、向かって左の方。それから、第2クラリネットのオジサマ。
にこにこしてたねぇ・・・・・・。こっちまで嬉しくなるようなニコニコぶりでした。
そういう私も、演奏を聴いているとあまりにも幸せで、もうニコニコ。

そして、びっくりしたのは第4楽章。
確かに題にも「雷鳴・嵐」というようなことが書いてありますが、本当にカミナリに聞こえました。
ものすごい迫力に、もう涙が出そう・・・・・・。
そして、その雷が段々遠くになっていき、やがて小鳥達が歌いだす。
その情景がそのとき初めてくっきりと目に浮かんだんです。すごい。こんなこと滅多にないですよ。

もう、「田園」だけで思いがはちきれそうになり、そして、終わった瞬間にもう何も考えられなかったです。
鳴り止まない拍手。まだコンサートは終わっていないのに、ずーっとずーっと拍手の音は途絶えませんでした。

休憩時間に、ビュッフェにいったりしてうろうろしていたら、口笛が聞こえてきました。
「田園」の一節でした。
心に残っているんでしょうね。なんか、ほほえましかったなぁ。
私、口笛ふけないので少しうらやましかった・・・・・・かな?

ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」op.67
そして、期待の「運命」。
始まった瞬間に「そうだ、あとは運命だった」とか思っちゃった。実は、「田園」がすごくてずーっと引きずってたみたい。
で、始まったら始まったで、しっかりと心はつかまれましたね。
第1楽章の辛さに引きずられ、音の響きのかっこよさに、感激しすぎて涙がボロッと出てきました。
すごい。今、私、ちゃんと聞いてるんだ。この「運命」を。
駆け足すぎて、ホルンがついて行ってないように聞こえたり、ちょっと荒いかなぁと思ったけど、ものすごい気迫に飲み込まれてしまいました。

第2楽章とか、本当に美しいね。丁寧な構成が本当に上手いなぁって思ってしまいました。
第3楽章の冒頭とか、ホルン、よく頑張ったっていっつも思ってしまう。あんなの怖くて怖くて。
そして、第3楽章の終わりから第4楽章の繋ぎにかけての、あの期待感。
第4楽章の始まりの大爆発は、もう少しあったほうが好みだけど、でも、その後のヴァイオリンの歌が。
歓喜に溢れたあの歌が、気持ちよくて!
終わりまで、本当に「うわー。うわー!」って何度言いたくなったことか!
口は確実にぽかーんと空いていたと思いますよ。

終わりまではすごい早かったですね。

終わったあとは、ブラボーの嵐でした。
私もいいたかったけど、あれを言うには技術がいる気がします。歌舞伎の「○○屋!」みたいに(笑)

スクロヴァ&ザールブリュッケンの第6番と第5番はCDで持っていて、今まではそのCDで大分満足していたけど、今はもう無理。
聞いた音が未だに頭に響き渡ります。
幸せ・・・・・・。

帰りの電車で、隣の奥様に声をかけられました。
その奥様とその旦那様もコンサートに行っておられて、私のコンサート袋を見て声をかけてきてくださったみたい。
「よかったわね」と。
そのお二人はよくコンサートに行かれてるけど、スクロヴァチェフスキとザールブリュッケンは初めて知ったそうな。
「空席があってもったいなかった」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。
スクロヴァチェフスキの名前も、覚えておられたしね(笑)

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